【インタビュー】嫌な過去は振り返らず、「キャラフレ」で“上書き”してしまおう!

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“ずっと居たい二次元の学園”で、楽しい学園生活を送ってほしい……
嫌なこと、忘れたいこと、そんな記憶は「キャラフレ」で上書きして!

 

仮想学園都市「翔愛学園」を舞台に、学園祭や修学旅行など、様々なイベントに参加しながら学校生活を楽しめるオンライン美少女アドベンチャーゲーム「キャラフレ」。今回無料ゲームクラブは、運営を行なうエイプリル・データ・デザインズ代表の濱田功志氏に、その魅力を語ってもらった。自分自身をオタクと呼ぶほど、並々ならぬ思いで理想の仮想世界を作り上げることに邁進している。キーワードは「記憶の上書き」だ。

②代表の濱田氏
今回のインタビューでは、キャラフレに対する熱い思いと、理想を語ってくれた。※画像はゲーム内での自身のアバター

ユーザーの創作意欲を網羅したい

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− 翔愛学園という仮想学園都市は、はじめにどのような構想があって作り出されたのですか?

濱田氏:まず学園ものというジャンルを決めてから、あとはそれを自然に膨らませてきた感じですね。たとえば特徴的な部分として、通常は学園ものを作ろうとすると、どちらかというとキャラを立たせる発想をするかと思います。お嬢様学校にしたりとか、すごく豪華な場所にしたりしますが、最初からプラットフォーム化といいますか、いろいろなところとコラボしてというのは企画段階から意識してました。学校自体もできるだけ目立たない普通のどこにでもあるようなデザインにして、そこにどんなコラボを持ってきても違和感のないようにと。
あとは最初からUGCのコンテンツを入れるというのは想定していました。ユーザーが「キャラフレ」の中でゲームを開発して公開できるというもので、アドベンチャーゲームに必要な舞台をひととおり用意しようと。海もあって山もあって神社もあって教会もあって旧校舎もあってみたいな、ユーザーがこんな背景が欲しいなと思ったところを極力網羅できるように、そういう考え方で街を作っていきましたね。

“いっちゃっている”衣装ばかり

− 男性ユーザーより女性ユーザーが多い「キャラフレ」ですが、元々女性向けに開発されたゲームなのでしょうか?

濱田氏:社内は女性の方が多く、デザイナーは全員女性で、企画も全員女性。男性はわたしとあと技術の方で、それ以外全員女性スタッフなので、女性向けのゲームが作りやすかったというのもあります。


− 女性向けで、コミュニティ重視のゲームということですか?

濱田氏:そうですね。コミュニティ重視というのは、バトルなしで競争もなしで、そういったものをなくしたときに何が出てくるかというと、コミュニティ重視というのが出てきます。そこはやっぱり競争してギスギスするようなものにはしたくなかったなというところからですね。


− キャラクターの衣装については、誰が決めているのですか?

濱田氏:衣装は企画に任せています。


− 濱田さんは、なるべくこういった衣装がいいかなという気持ちはあるんですか?

濱田氏:ゲーム内でコスプレ遊びができれば、という思いで作っていますので、そういう意味では普段着られないようないろいろな衣装があればいいなというのがひとつ。
あとは、一般的にカワイイ服とかファッション雑誌などを参考にすると、ゲーム内の背景だとすごく地味になってしまいます。いわゆるリアルにあるファッション雑誌の服で、どれだけ“いっちゃってる”というのを持ってきても、このアニメ系の世界に持ってくると地味なんですよ。じゃあリアルで考えると、ステージ衣装や、こんなの絶対着られないよねというもので、まあまあいいんじゃないかという感じなので、そういう意味ではリアルのファッション状況というのは参考になりません。参考にするとしたらステージ衣装とかアイドルが着ている服とか、男性向けだったらジャニーズが着そうとか、それくらいのレベルですね。

ほかにはない学園祭や修学旅行

− イベントもたくさんある中で、学園祭や修学旅行は大きなイベントですよね。

濱田氏:学園祭はユーザーが中心になって開催されます。どちらかというと我々は裏方ですね。修学旅行は毎年1週間ぐらいの期間で、違うところへ行っていますが、おそらくこういうものは、ほかのゲームでは簡単に真似できないと思うんです。通常のゲーム会社の発想で、たとえば開発と運営が分かれたりしているところは実現が難しいと思うので、そこは差別化できるだろうなとは思っています。


− 今まで非常に人気の高かった修学旅行とか学園祭ってありました?

濱田氏:そうですね……。毎年、修学旅行は豪華にしていかなければいけないので、よくするにはどうすればと毎年考えています。そういう意味では一番直近のものが盛り上がったかなと思います。逆に前の方がよかったねとか言われるとショックなんで(笑)。

③▲毎年5月に開催される皐月祭。学園生活を彩る人気のイベントだ。

「キャラフレ」らしくリアルに

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− 2.5次元プロジェクトなど、リアルさの追求に関してはどのようにお考えですか?

濱田氏:リアルさというよりは、ひとつはリアルかバーチャルかという議論はだんだん意味がなくなってきていると思っています。バーチャルだからこうなんだよ、みたいなことがおそらく通用しない時代になってきています。それくらいネットワークというものが一般的に、特別なものじゃなくなってきているだろうなと感じていますね。


− 2.5次元プロジェクトというのもそれに?

濱田氏:そうですね。そこは大きいですね。リアルとバーチャルの垣根をどうやって無くしていくか。


− 2.5次元については、濱田さんの中ではどのような定義なのですか?

濱田氏:二次元と三次元の両方で活躍する人を応援していきましょうというもので、プロジェクトの趣旨というか、やりたかったこととしてはたとえば学園祭があるなら、そこにアーティストを呼んだりしたいよねと。そのアーティストを呼ぶにあたって、「キャラフレ」らしくやらないといけないので、リアルなアーティストの本人そっくりのアバターで、本人がきちんとログインをして、両方で活躍してもらうというような場にしたかったのがスタートでした。

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▲今年も様々なサプライズが用意されている2.5次元プロジェクト。

クリエーターを支援したい

− 今後「キャラフレ」というゲームは、キャラクターに力を入れていきたいのか、それとも重要視するのはゲームなのでしょうか?

濱田氏:一番思っているのはプラットフォームとして育てたいなと思っています。もちろんユーザーが集うというのもありますが、クリエーターも集まってほしいんですよね。もっともっとこのような二次元を愛する人たちが集まって、利用してくれるようなプラットフォームとして育てたいなと思っています。


− そのためには具体的にどのようなことをしていきたいですか?

濱田氏:わたしたちが応援することだと思います。都心の方もそうですけど地方に行けばいろいろなクリエーターさんがいて、結構頑張って自分が描いた絵をどうやって世に広めいこうかとか、もちろん純粋に好きでやっていることだと思いますが、結局はそれをどう広めるかという点で、苦労しているわけですよね。そういう人が山のようにいると思います。我々もそういう人たちをどうやって応援するかというのを考えていくべきだろうなと思っています。この人はどういう応援の仕方をしてあげるのが一番いいのかなというのを、それぞれ考えながら応援していけたらなと思います。


− ユーザーだけではなく、クリエーターの方々も、みんながキャラフレを通じて成長してくイメージでしょうか?

濱田氏:そうですね。クリエーターだからユーザーだからというよりは、このようなゲームの愛し方の違いだと思うんですよ。見て楽しむ人もいれば描いて楽しむ人もいると思います。見る人はもっといいものを見たいし、描く人は描いたものをみんなに見てほしいと思うし。どちらもやっぱり応援してあげたいですね。

記憶の上書きを実現してほしい

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− 「キャラフレ」というゲームの理想はどのようなかたちですか?

濱田氏:わたしの本当の理想は記憶の上書きなんです。記憶って楽しいことがたくさんあれば、嫌なことをだんだん薄めることができるんですね。だから、たとえば嫌なことがあって、それをずっと引きずっている人たちもいっぱいいると思います。けどそれは楽しい経験をたくさんすれば、忘れることができると思うんですよ。薄めることも、上書きすることもできると思っています。
その記憶の上書きの究極のかたちは、映画の「トータル・リコール」みたいにテクノロジーで作り物の記憶を植え付けられることだと思っています。そこまでいかなくても、疑似体験で記憶の上書きというのはできると昔から思っていました。映画とか小説もそういう役割を果たせると思いますが、やはり一番近いのはゲームだろうなと思い、ゲーム分野に進みました。ただ、たぶんそれができる頃にはゲームという名前では呼ばれてないだろうなという未来をイメージしています。
今年はVRなどが盛り上がってますけど、わたしはまだまだ進歩の余地があると思っています。一方で、「キャラフレ」みたいなローテクでも、見た目はこういうアニメチックですが、中でリアルに他人と一緒に何かをやっていくことは、疑似体験とは言いつつも実体験に非常に近い記憶を残すんですよね。ゲームの中で友達と修学旅行へ沖縄に行っていろいろ騒いだねみたいな思い出というのは、そういうのを本当は高校時代にやりたかったけどできなかった人にとって、新しい思い出を作り過去を上書きしていくことができるんじゃないかなと。「キャラフレ」で、ある程度実現できたと手応えを感じています。

あとがき

『キャラフレ』について語る濱田氏の物腰はやわらかい。

約2時間の取材の中で、自身の生い立ちから学生時代の話にまで話題が及んだとき、
一瞬、言葉に熱を帯びる。

「本を読んでそこへ逃避する。アニメを見て逃避する。あるいは自分の想像で話を作ってそこへ逃避する。そんなことを頻繁にやっていた。」

複雑な家庭環境で育った濱田氏の幼少時代は恵まれた環境とは言えない。
それらの事実に対し、「決して不幸であったとは思わない」と濱田氏は語る。

「どちらかというと理想どおり行かなくて苦しむのが当たり前の思春期じゃないですか。でも本当は楽しい青春を過ごしたかったと、誰もが思いますよね。」

この一節に、『キャラフレ』誕生の経緯が集約されるだろう。

本文内で語られる『記憶の上書き』というメッセージは自身に向けられた言葉である。

「どこかで卒業(過去の出来事に対して納得)していかないと生きづらいままっていうことになると思うんですね。そのことを支援するシステムがあってもいいんじゃないかなと思うんですよ。」

過去に目を背けるのではなく、許容しようとする姿勢はバーチャルの世界には不要であろう。濱田氏は自身の過去を卒業し、リアルの世界を必死に生きている。

【インタビュー】嫌な過去は振り返らず、「キャラフレ」で“上書き”してしまおう!

“ずっと居たい二次元の学園”で、楽しい学園生活を送ってほしい……
嫌なこと、忘れたいこと、そんな記憶は「キャラフレ」で上書きして!

仮想学園都市「翔愛学園」...

無料ゲームクラブさんの投稿 2016年4月18日

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